先生の腕の中で、汗だくの身体もそのままに長く執拗なキスを受け続ける。
「ンむぅ……んちゅ……、じゅる……むふぅ……」
すでに十分以上は経っているはずだった。
夫ともこんなに長いキスをした覚えはない。
しかもいまだにヒクつく膣壁を指でかき混ぜられながらなのだ。
興奮するし、感じてしまう。キスがものすごくいやらしいことのように思えてくる。
夫とのロマンティックなキスとは全く質の違う──下品でねちっこい口吸い。
先生と私の舌が絡まりあって、お互いの唾液が混ざり合う。
熱い吐息をハァハァと鼻先にぶつけ合いながらの、匂い立つほど濃厚な接吻。
私は、目の焦点も合わせられないぐらいトロけ切った表情をしているのを自覚していた。
フーフーと鼻で呼吸をしながら、先生に舌を吸われ、唾液をすすられ、口内の粘膜をねぶり回される。
そしてその度に、恥ずかしい顔のままで全裸の身体をくねらせるのだ。
もちろんアソコの内側もトロけ切っていて、先生の指をギュウギュウに締め付けているのも分かっていた。
彼は唇を離すと、そんな私の目の奥を覗き込みながら笑った。
「ふふ、奥さん、素晴らしいですよ。こんなに感じやすい患者さんに出会えたのは初めてかもしれません。これは希望が持てますよ……。どうですか、恥ずかしくて、興奮して、気持ちいいでしょう? ええ、いいんです、それでいいんですよ。だってほら、今、奥さんの身体の中ではドクドクと女性ホルモンが出ているはずですから。これを続けていけば、そのうちきっと妊娠できるようになります」
そう言うと、彼は首筋に浮いた汗をベロリと舐め上げてきた。
「……ん、んはぁ……」
私はもうろくに考えを巡らせることすらできなくなっていた。
バカみたいに頭をからっぽにして大きく口を広げ、上下の口からよだれを垂らしては──人形のようにされるがままだ。
けれど、頭のどこかではこれでいいのだとも思っていた。
ここは診察室で、目の前の男性は不妊治療のスペシャリスト。そしてこのベッドは彼の聖域なのだから……。
ここでは、彼の言うことさえ聞いていればそれでいいのだ。
素直にしているのが一番いいと先生も言っていたではないか。彼に身を任せていれば、きっと全部上手くいくはずで──。
「どうですか、奥さん。気持ちいいでしょう?」
「……あふ……は、はい……」
「これだけアソコをメロメロにしてしまっているのなら……欲しくなってきませんか? 男のモノが……」
「……え……?」
「ペニスですよ。ペニス。おちんちん、チンポ、男性器、生殖器──まぁ言い方は何でも構いませんが……ハメて欲しくはなりませんか? 熱い男の肉棒を──」
「……あ……え、それは……」
「ああ、そうですよね、奥さんは人妻ですからね……。旦那さんがいらっしゃる身です。旦那さん以外の男にペニスをハメられるようなことがあってはいけませんよね……。これは失礼しました」
「……え……」
「ふふ、しかしですね……正直に答えてもらえませんか。欲しいか、欲しくないか。まあ問診の続きだと思って。今の奥さんがどういう状態なのか、何を考えているのか、私は担当の医者として知っておかなければなりませんので」
「──っ」
私は激しく困惑した。
先生の言うことを聞いて、正直にすべてをさらけ出さないといけないと思ってはいた。
が、やはりいざとなると夫に対する申し訳なさが頭をもたげてくる。
先生にもきっと見透かされている“本当の気持ち”を胸に抱えたまま──けれどそれをどうしても口にすることができず黙りこくってしまう。
そんな私を気遣ってか、彼は優しく胸を揉みしだきながら言葉を足す。
「いや、くれぐれも勘違いなさらないでくださいよ。別に今ここで奥さんが“欲しい”と答えたら私がペニスを挿入するとか……そういう話ではありませんので。ただ、今の奥さんの状態は欲しい状態なのか、欲しくない状態なのか。そのことを知っておきたいだけですので。あくまでも治療の参考としてね」
「……ふぁ、はぃ……」
「で、どうなんですか。おまんこ、こんなに柔らかくほぐれていますけど……ここに硬い勃起ペニスをズボズボされたくはないですか? 強く激しく、男らしく……」
先生はニチャニチャと、敏感になったお腹側の膣壁を指でこすってくる。
さっきからずっとそうされているせいで、私は落ち着きたくても落ち着けないでいたのだ。いまだに私はイク寸前の興奮状態を維持させられていた。
「ほら、医者に対してはウソはもちろん、何も言わずに黙っているのも──絶対にあってはいけないことだと言いませんでしたか?」
「ぁ……すみません……」
「で? どうなんですか。大丈夫ですよ、恥ずかしくありません。そりゃあこれだけアソコをいじられると仕方ないですよね。安心してください。みなさんそうですから。あなたは何も悪くありません。女性として健全な証拠なんですからね」
私はろくに回らない頭のままで、快感と興奮に包まれながら──何と答えればいいのか必死になって考えていた。
欲しくないと言えば嘘になる。だけど夫がいる身でそんなこと……。
精神を引き裂かれそうなほどの激しい葛藤に襲われた私は、それでも長い時間をかけてようやく自分の答えを口にすることができたのだった。
「なるほど。よく分かりました。つまり簡単に言うと──旦那さんに悪いから、口が裂けても欲しいなどとは言えないということですか……。ふふ、素晴らしいですね。いやぁ、奥さんは本当に旦那さんのことを愛していらっしゃるんですね。私は感動してしまいましたよ。ほら、ココをこんなにもトロトロに溶かして……それでもまだそんなことが言えるだなんてね」
くちゅ、くちゅ。
「普通の女性なら『ペニスが欲しい』と泣いて懇願してもおかしくない状態ですよ。いやぁ、奥さんは本当に意思がお強い。感服いたしました」
ちゅく、ちゅく。
「ですが──実はですね……女性ホルモンを大量に分泌させるためには、他のどんなやり方よりもいい方法がありましてね。それが──男性フェロモンを直接子宮内に注ぎ込むというやり方なんですよね……」
ぐちゅ、ぐちゅ。
「ですから、私も本当に胸が痛むのですが……治療のために仕方なく、あなたの中に男性フェロモン──つまりは精子ですね、私の精子を、たっぷりと注ぎ込ませてもらいます。いやぁ、すみませんねぇ、奥さんがせっかく貞操を守ろうとがんばってくださっているのに。しかし、こればっかりはどうしようもありません。なんといっても、奥さんの不妊を治すためにはどうしても必要な処置なんですから」
長々と葛藤していた私が何だったのかというぐらい、先生はあっさりとそう言い切った。
そして言葉の通りに彼がズボンとパンツを脱ぎ捨てると、私の目の前には男性のたくましい下半身がさらけ出されるのだった。
分厚い筋肉のついた太い足。そしてその足にも負けないぐらいの雄々しい極太ペニス。
すでに準備は万端といった様子で、何本もの血管が浮き出るほどにきつく勃起している。
私はベッドの上で、全裸で、両足を大きく広げ、アソコからは愛液を垂れ流しにして──先生のペニスが近づいてくるのを、潤んだ瞳でぼうっと見つめていた。
両膝に手を置かれ、力強く押し広げられると……すでに百八十度近く開かれていた私の股はさらに割れた。
両太ももの外側がベッドに付こうかというほどの態勢で背中までをもシーツに押し付けられてしまう。
先生は勃起したペニスを膣口にあてがい、体重をかけて覆いかぶさってきた。
──にゅる。
一瞬だった。
一瞬で、ヌルヌルに濡れそぼった私の穴に、彼の亀頭がすっぽりと収まってしまった。
「……あ……ふあ……」
「……さて、奥さん。では治療を始めますよ。膣の中でしっかりと私のペニスを感じてください。感じれば感じるほど、女性ホルモンが活発に分泌されますからね」
先生はそう言うと、全体重を乗せて股間を突き出してきた。
私と先生の股が隙間なくぴったりと密着する。
夫のものより一回りも二回りも大きく、そして長いペニスが──膣道をいっぱいに埋め尽くす。
亀頭の先は子宮を押し込んで力強く圧迫してくる。
「──かはっ……せ、せんせっ……これ……」
根元までペニスを挿入されただけで、今までに経験したことのない圧倒的な快楽に襲われてしまった。
夫のペニスとは全然違う。長さも太さも全然違う。
「──くはっ、これッ、すごっ……いッ……」
凶器のようなペニスだった。
私の膣はかつてここまで広がったことがないというほどに押し広げられているし、子宮は亀頭に押し潰されて形を変えている。
頭の中でドクドクと快楽物質が分泌されているのを身体中で実感した。
脳から溢れ出した物質が血管に乗って全身を駆け巡り、身体の各所にトロけるほど甘い快楽をもたらす。
自然と身体が反応してしまう。
私は両足をベッドに押さえ付けられたまま、シーツの上で仰け反った。
「んあああっ! ああああッ!」
病院では絶対に出してはいけない、獣のような喘ぎ声。
先生以外の誰かに聞かれてしまうかもしれないということも考えられず、私はその声をさらに大きくしていった。