私が妊娠したことによって、先生の“治療”は終わりを迎えた。
もはや私は、不妊に悩む主婦ではなくなってしまったのだ。
そして四年の歳月が経ち──。
結局、私は四人も子供を身ごもり、その全てを無事に出産していた。
母子ともに健康で、日々の暮らしにも一切の不安がない。
不妊に悩んでいた時からすれば、世界が変わったような──明るく楽しい毎日を過ごしている。
さすがにこれだけ子供がいると、めちゃくちゃに忙しい。
けれど、夫とともに協力し合い、周りの人たちにも支えられて、たまには休みを取れるぐらいの余裕も作れているのだった。
そしてそんな余裕を手にした時──。
私は決まって、先生と一緒にあの温泉旅館へと足を運ぶのだった。
パンパンパンパンパンパンパン!
「アアンッ! アアンッ! アアンッ! 気持ちイイッ! アアンッ! スゴイッ! アアンッ!」
一度に二十人は入れるかというほど大きな、男女共用の混浴サウナ。
蒸し蒸しと暑いその部屋の中で、私は十人もの男性に囲まれていた。
「アンンンッ──ンムフウゥ! ンフゥ! ンじゅる──。じゅぱっ……ちゅる──んじゅるるる──」
他のたいていのサウナと同じように、この部屋にも二段式の座るスペースが用意されている。
そして今、その一段目に両足を広げてどっしりと座る中年男性の姿があった。
私は彼の股間に顔を埋めて、汗ばんだ臭いペニスに口奉仕を続けている。
もちろん、四つんばいになったお尻を別の男性に激しく突かれながら──。
バチュバチュバチュバチュ!
「ンアアアッ! ンムフゥウウ! じゅるるる──んんんっ! ぢゅる──ッンハアアッ! んぶっ! んぶぶぶぶっ!」
ビンビンに張った長く太いペニス。口から外すとビタン! と音を立てて彼のお腹に戻っていくそれを、私は口内に含むだけではもったいないと思い、顔をこすりつけて愛撫するのだった。
鼻のわきのくぼみを、柔らかい頬を、彼のぬるぬるのペニスに押し付け、密かに匂いを嗅ぐ。
自分の唾液でまみれた肉棒は、それでも男性特有の匂いを発散し、私を女として興奮させてくれる。
ぬるぬると汁が溢れてきて、顔面がドロドロに汚される。
「ンハアアアアア……チンポスゴイ……チンポスゴイああおおおお……いい匂いぃぃ……エロいぃいい──アアン……もうヤバイ……興奮して……んんんふぅううう」
男の人は入れ代わり立ち代り部屋を出入りしているが、私はもう一時間は入りっぱなしなのだ。この呼吸をするのもキツイ、蒸し暑いサウナの中に……。
正直に言って、よくまだ意識があるなというぐらいの極限状態だった。
全身から危険なほど発汗して、身体はろくに動かせない。頭の中は霞みがかかったようにぼんやりとして思考もままならない。よだれと愛液と尿を垂れ流しにしてひたすらに喘いでいるだけ。
身体中のいたるところを、汗が粒となって流れている。
例えばアゴの先や、両乳首の先、そういった“先端”からは流れ集まった汗がぽたぽたと水滴になって床に落ちていく。
ペニスを突き入れられている股間からも体液が滴り落ちているが、それは汗ではない。愛液と精子、それらがぐちゅぐちゅにかき混ぜられたものである。汗などとは違い、ボタッ、ボタッと音を立てて床に落ちる。まるで白いジャムといった感じ。
「アンアッ! ンンンンンンンンッ!」
男たちは私のそんな状態にも構わず、好き勝手にやりたいことをやっている。
上下の口にペニスを咥え込まされているのはもちろんだが、それ以外にも──後頭部にドピュドピュと精を吐き出されているし、背中にはジョバジョバとおしっこまでかけられている。足の裏に亀頭をこすりつけている人がいるかと思えば、急に誰かが乳首に吸い付いてきたりもする。
「あああ、奥さん、イクぞぉ……。おアアアッ!」
ドピュドピュドピュ!
「んぶううっ──んむんんんん! ンンンッ!」
口の中──というよりも、喉の奥に精子を放出された。
舌の上で彼のペニスが跳ねている。ビクンビクンと脈打ち、その度に食道から胃に直接精液が注ぎ込まれていく。
彼はよほど気持ちがいいのか、下半身をブルブルと震わせて私の頭を押さえつけてきた。最後の一滴まで搾り出し、満足するまで放さない構えだ。
──このままじゃ、窒息してしまう。
……でも。こんなに気持ちいいならそれでもいいか──。
そんな馬鹿なことを考えていると、ようやくペニスを口から外してもらえた。
「──んぱあああっ! ゴホッ! んゴホッ! うおおえええっ! んゴホオッ! ごほっ! ごほっ! ごほっ! けほっ! っぷはあっ! あああ! ああああああ!」
涙を流しながら、口元をよだれと精子まみれにして咳き込む。
死なないように必死で肺に酸素を取り入れる。
もちろんその間にも、背後からは強烈なピストンを食らっているのだ。
私は喉、胸、お腹を痙攣させ、呼吸も整わないままイカされ続けた。
「あああ、奥さん! 気持ちいいよ! 奥さん! 一人目は先生の子! 二人目は山田の爺さんの子! 三人目は田中の子! そして四人目は! ──っと、名前なんだっけ、あのハゲでメタボなおっさん……。ああ、斉藤さんね……。あの人の子供──! さあ、奥さん! イキますよ! 次は僕の子ですよ! たっぷり精子出してあげますからね! 是非俺の子を妊娠してくださいよ! おらっ! イクよっ! 奥さん! 妊娠してよっ! ほらっ! くおおおおっ! おおおおおおおおおっ!」
ドクドクドクドク──。
床に溜まった体液に顔を押し付けていた私の、その膣内に──大量の精液が流れ込んできた。
今日も危険日ど真ん中なのである。
きっとまた受精させてもらえるのだと思うと、私は頭の血管が切れるのではないかというほどに興奮してしまうのだった。
「んはあああっ……ドクドク来てるぅう……精子いっぱい食いついて来てるぅ……。また卵子犯されちゃうぅ……ああん……もう最高おおおぉ……。交尾最高おおぉ……。受精交尾さいこほおぉぉ……」
じゅぽんっ──、とペニスが抜かれると、すぐにまた新しい男根がずぶりと突き刺さってくる。
これでもう何人目かも分からない。
ただ、前の人も次の人も、その次の人だって、今日ここにいるみんなが──次に産まれてくる子供の父親候補なのだ。
「へへへ、奥さん、俺も赤ちゃんプレゼントしてあげるからね……。ほら、子宮に当たってるでしょ、俺の先っぽ当たってるでしょ?」
「んふあああああああっ! 当たってるうう! ビクビクチンポッ! 子宮に当たってるうううああっ! んひいいいっ! 気持ちイイイッ! アンアンアンッ! 気持ちイイイッ!」
「じゃあ、俺が子宮口にキスしたまま、直接精子ぶっかけてあげるからね……。イキながら受精してね……」
「んっふあああああいいっ! しゅるうぅぅッ! 受精しゅるうぅッ! いっぱっああんんっ! 受精っ! イキながらっ! 受精っ! んんんああああああっ!」
ズバンッ! ズバンッ! ズバンッ! ズバンッ!
彼はもう最初から全力全開だった。ありったけの力を込めて私のお尻に腰を叩きつけてくる。
バックで四つんばいになる身体が、激しく揺れる。女の柔らかい肉が、波を打つように震える。
全身を覆っていた汁が周りに飛び散るほど激しくピストンされて、私はもう魂を吹き飛ばされていた。白目を剥いて、獣のように大声で吼える。
「ンアアアアッ! 最高おおおッ! オトコ最高ォッ! ンアアアアアッ! 気持ちイイイッ! 妊娠させてェッ! ンアアアアアッ! イクイクイクイクイクイクイクイクイクイク! ンアアアアアッ! イックウウウウウウアアアアアアアアアッ!」
ビクンビクンビクン!
「ほらあ! まだまだですよ! まだまだ何発も犯してあげますからねぇ! 嬉しいでしょう! 精子いっぱい嬉しいでしょう!」
ズバンズバンズバンズバン!
「んほおおおおおおあああああああっ! 嬉しいいいいいいいいっ! 精子いっぱい嬉しいいいイイイイイッ──クウウウ! もうサイコオオオオオッ! んがああああっ! またイクゥ! またイグゥ! またイッちゃ──イグウウウウウウッ! ンフウウウウウウウウウウウウッ!」
ビクンビクンビクン!
「ふふふ、すごい感じ方ですね奥さん。痙攣が止まりませんよ。おしっこも垂れ流しじゃないですか。四児の母だというのに、いいんですかこんな姿を晒して……」
先生の声だった。先生が耳元でささやいてくれている。
私は彼にぐちゃぐちゃになった顔を見てもらおうと顔を上げた。
鼻の穴や口の中を指でグボグボとほじられながら、また大きな痙攣に身体を震わせてイッた。
「ふふふ、可愛いですよ。やっぱり奥さんは精子まみれになっている時が一番美しいですね。あああ、私も興奮してきます。今日は誰の精子があなたの卵子に食いつくでしょうね……。私ももう一度挑戦してみましょうかね。どうですか? また私の子供を産んでくれますか?」
「アンッ! 産むっ! またぁッ! 産みますぅッ! 先生のぉッ! 子供おおおぉっ! アアアアアアッ! アアアアアッ!」
「ふふふ、じゃあ、私の二人目も含めて……。そうですね、あと十人ぐらいは産んでくれますか? 子供手当ても出ることですし、経済的にも大丈夫でしょう。旦那さんと二人で育てていってくれますか。私たちの子供を……」
「アンッ! アンッ! 産むッ! 育てるッ! 子供ッ! いっぱいっ! みんなのッ! 子供ぉッ! ンアアアアッ! 気持ちイイイイイイッ! おかしくうぅ──なっひゃうっ! もふぅッ! ずっとおぉッ! イッててェッ! イッててェッ! イクのがッアアアッ! 止まらなァアアアア──ンンオオアアアアッ!」
「奥さん、幸せですか? 女に生まれてきて、よかったですか?」
「アアアアアアアアアアッ! もうああああああああっ! 最高ッ! 最高ッ! ありがとうッ──ございまアアアアアアアアアッ! 女に生んでくれてエエエエエエエエエエッ! ありがとホオオオ──おおオオオオ──っほオオオオオオッ! ──ふんぐアアアアアアアアアアアアアアッ──! ──ガアアアッ! ──アガッ! ──ッ!」
顔面に、背中に、お尻に、太ももに、足の裏に、そして──子宮の中に。
何人もの男に大量の精子を浴びせ掛けられる。
自分が何かを叫んでいるのは分かっていても、もうその声すら聞こえない。
音のない世界で、すべてがスローモーションに見える中、私は身体中を痙攣させて──その魂まで砕け散らせた。
そして五人目、また別の男性に卵子を完全支配され、再び「妊婦」へと変えられてしまったのだった。