「はぁ、はぁ……はぁ、はぁ……」
どれぐらい時間が経ったのかも分からない。
先生が濡れそぼったアソコから指を抜いて、ピクピクと痙攣する私の太ももをさすっている。
どうやら長時間にわたる触診も、ようやく終わりを迎えた様子だった。
私は天井を見つめたまま、ぐったりと脱力していた。
喘ぎすぎたせいか、頭もぼんやりとしている。
上半身も汗だくで、胸は荒い呼吸に乱高下している。
ブラウスは肌に張り付いていて、ブラの形をくっきりと浮かび上がらせていた。
まるで夫とのセックスが終わった後のような、あられもない姿。
恥ずかしすぎて、先生の顔を見ることもできない。私は天井の隅に視線を逃がして熱い息を吐き続けていた。
「奥さん、だいぶ感じてらしたみたいですね」
汗に濡れたヌルヌルの内ももを撫で回しながら、先生は冷酷に指摘してきた。
「……す、すみません……」
私は唇を噛んだ。
ここは病院で、今は真面目な診察の最中だというのに……。
情けなさのあまり、逃げ出したくなる。
しっかりしなければと、心の中では思うのだ。
が、そんな内心とは裏腹に、私はいつまでもみだらな姿を晒し続けるしかないのだった。
整わない呼吸、だらしなく上気した顔、そして火照りきった汗だくの身体。
まだ身体の各所がピクついていて、股下のシーツには大きなシミだってできているはずで……。
「いえいえ、奥さん、何も謝ることはありませんよ。痛いときは痛いと言う、気持ちいいときは気持ちいいと言う──そういう素直な患者さんの方がやりやすいと言ったでしょう?」
「……で、でも……こんな……」
「大丈夫です。何も問題はありません。奥さんはすばらしいです。本当にすばらしい患者さんです。この調子で、これからも私の言うことを素直に聞いてがんばってください。そうすれば、必ずや私が妊娠させてあげますから。ね?」
「……は、い……」
「いい返事です。その調子ですよ。……では、そんな奥さんに一つ質問をしてみましょう」
今度は何を聞かれるのかとつい目を合わせてしまう私に向かって、彼は穏やかな表情で言った。
「奥さん、あなたの不妊なんですがね……それを改善させて無事に妊娠するためには──一体何が重要だとお考えですか?」
「何が……? って……え、と、それは……女性ホルモン、ですよね……?」
「そうです。その通りです。今のあなたは極端に女性ホルモンの分泌量が少ない。そのせいで精子が着床しにくい身体になってしまっているのです。したがってですね、奥さんの身体を女性ホルモンが大量に分泌される体質に作り変えてあげると──自然と状態が改善されていく見込みがあるという訳です。これは医学的にもはっきりとしていることです」
「……はい」
「そこでですね、あなたの身体を女性ホルモンが分泌されやすい状態に置きたいのですが……。では奥さん、どうすれば大量の女性ホルモンが分泌できるようになるか、ご存知ではありませんか?」
「え? と、それは……お薬とかじゃ、ないんですか?」
「ええ、違います。薬などは一切使いません」
「じゃあ……食生活、とか?」
「それも違います。奥さんには普段通りの食事をしてもらって構いません」
「……え、えと、じゃあ……何だろう……えっと……」
「お分かりになりませんか。仕方ありませんね。では教えて差し上げましょう。いいですか、よく聞いておいてください。女性ホルモンを分泌させるために一番効果的なもの──それはズバリ、男性フェロモンですよ」
「あ……」
「いいですか、これは別におかしなことではありません。女性の身体というものは、元々がそういう風にできているのですから。男性を感じることで、女性はより女性らしくなる。太古の昔から、人類はそうやって生きてきたのですから。まぁ具体的に言うと……男性フェロモンを取り込んで、脳が刺激を受けることで──より多くの女性ホルモンが体内で分泌されるようになるという訳です」
「はあ……」
私がそうなんだという顔をしていると、先生はおもむろにズボンのボタンを外してジッパーを下ろし始めた。
「……え?」
戸惑う私にも構わず、彼はズボンと一緒にパンツまでをもずり下げてしまっていた。
私の顔のすぐ横に、ぶるん! と黒ずんだペニスが現れた。
「──ひっ!」
あまりの出来事に、心臓が跳ねた。
上体を起こして離れようとすると、先生に両肩を掴まれてしまった。
そのままベッドに強く押し付けられる。
ビンビンに勃起した男性器が、顔のすぐ横、動けば触れてしまいそうな距離にあった。
グロテスクなそれは、先からテカった汁を垂らしてドクドクと脈打っている。
「……ちょ、っと……せ、先生っ……や、やめてくださいっ……何をッ──」
力を込めて抵抗するものの、男の人に上半身を押さえ付けられていてはどうすることもできない。
「奥さん、やめてくださいはないでしょう、やめてくださいは……。これは治療なんですから──」
そう言って彼はペニスの先端を鼻先へと近づけてきた。
むせ返るような男の匂いを鼻腔に感じて、私は思わず顔を背けてしまう。
「いいですか、あなたは女性ホルモンを充分に分泌させなくてはいけないのです。そのためには男性フェロモンに触れるのが一番なんですよ。私はあなたの担当医ですからね。お手伝いできることがあれば、何だってして差し上げますよ。ほら──」
「い、いやッ──」
暴れようにも、両肩をガッチリと押さえ付けられて動けない。
先生は右手で肩を掴んだまま、もう片方の手で私の頭を掴んできた。
グイと力を入れられ、無理矢理に顔の向きを直されてしまう。
彼は大きなペニスを私の目の前でヒクつかせている。
限界まで皮を伸ばした肉棒が根元からグラグラと揺れ、私の鼻の頭、唇の先、頬の肉に──濡れた亀頭の先端を当てる。
「奥さん、旦那さんとの間に子供が欲しいんですよね?」
尿道口が唇の割れ目に押し付けられていた。
私は唇を強く結んで、必死に身を固める。
が、そのせいで鼻だけで呼吸をするハメになり、鼻腔いっぱいに男の濃い体臭を吸い込まされてしまった。
「そうです、いいですよ。その調子です。たくさん男の匂いを嗅いでください。男性器からは大量のフェロモンが出ていますからね。この匂いを嗅げば、あなたの体内で女性ホルモンが活発に分泌されます」
調子に乗った先生は、ペニスの先端を鼻の穴にねじ込むかのごとく差し出してくる。
亀頭の先が鼻頭に触れて、粘り気の強い液体がこびりつく。
ペニスの先が離れると、粘液の糸は熱いチーズのようにどこまでも伸びた。
「──ちょ……せんせッ……」
「いいですよ。大丈夫です。そうです、そのままじっくりと男の匂いを胸一杯吸い込んでください。ね、ほら、これこそが一番の特効薬なのですから」
正直、半信半疑だった。
が、私は強く拒むこともできずにいた。
長時間の指マンで抵抗する気力がほとんど失われていたこともあったが、それよりも何より──いま目の前にいる男性が、日本を代表する不妊治療のスペシャリストであるという事実が大きかった。
先生の言うことを聞いて、最終的に不妊が治り、愛する夫との間に子供を授かることができるのなら──多少の恥ずかしさや後ろめたさは問題にならないのではないか……。
そりゃあ手術もせず、薬物にも頼らずに不妊を治すというのだから……こういうことにも我慢して従わなければならない場合もあるかもしれない。
実際に彼はこうやって、数々の治療実績を積み重ねてきたのだろうから。
「……っ……」
私は意を決して、思い切って鼻から息を吸い込んでみた。
──すー、すー、すー。
先生の驚くほど太くたくましい勃起ペニス、その先端から、カリ首、裏筋、そして睾丸付近の匂いまで、頭を押さえられたまま嗅がされていく。
彼の股間は全体的に湿り気を帯びていて、顔の近くにあるだけで熱く感じられた。
肉が触れるたびにリアルな弾力までもが伝わってくる。
「……んッ、ぷはッ、ちょ──せんせっ……」
どさくさにまぎれて、先端を顔中にこすり付けられていた。先走り汁で顔中がベトベトになってしまう。
「どうしましたか。大丈夫ですよ。この汁の中にもたっぷりと男性フェロモンが入ってますからね……。肌に触れることで、女性ホルモンが分泌されやすくなります。そうそう、口から直接摂取してみても、身体にはすごくいいんですよ」
そう言うと先生は、硬いペニスの先で私の唇をこじ開けてきた。
「──んふッ!」
(……な、何これ……大きい……)
無理矢理ねじ込まれ、全体を咥えさせられると──先生の性器は思った以上に太いことが分かった。
口を限界まで開けていないと、歯につっかえてしまう。
そして彼が腰を突き出すと、簡単に喉の最奥部にまで入り込んでくるのだ。長さも異常と言っていい。
私はろくに呼吸もできないまま、先生の生ペニスを口内いっぱいに受け入れていた。
「ふふ、いいですか奥さん。先から汁が溢れているでしょう。それをしっかりと味わってください。口の中でちゃんと舌を動かして、そう、そうです。いいですよ。うまいじゃないですか……。そうやってたくさん舌を動かして、存分に男性器の感触を感じてください。そうすれば、奥さんの脳が女性ホルモンを出せと命令を下し始めますからね」
「……んふぅ……、じゅる……んはぁ……、じゅぷ……、ちゅく……んぐぅ……」
全部入れられてしまったのでは仕方ない。
これも治療だから、治療なんだから──。
自分にそう言い聞かせて、控え目に舌を動かす。
先生がゆっくりと腰を前後に動かし始めると、口の中で大きなカリが往復した。柔らかい舌の上や硬い上あごをゴリゴリと削り、それでは足りぬとばかりに頬の内側の肉までをえぐりながら行ったり来たり。入口にまで戻ったかと思うと、また喉の奥にまで侵入してくる。
「……んぶッ、んぐぅ……、ぶはッ、んむぅ……」
じゅるじゅるとよだれを垂らしながら、私は必死で苦しさに耐えた。
そうこうしているうちに先生の腰使いは力強さを増して、快楽を貪るかのように強引に口内を蹂躙し始める。
(……やだ……先生──興奮してる?)
顔や言葉には決して出さないが、このギチギチに張った肉棒、そして余裕のない腰使いを見ても分かった。
彼は異常なまでに興奮している──。
じゅこじゅこ、じゅこじゅこじゅこ!
「──んぶぅ……! ──んむんッ……!」
両手で頭を掴まれ、腰の律動に合わせて前後に動かされる。
がしゅがしゅ、がしゅがしゅ!
「んがじゅ! んぐじゅ! んむぶっ! ぶじゅじゅ! んじゅがじゅ! ぶぐがじゅ!」
よだれを撒き散らしながら、涙を流しながら──喉奥を女性器のように扱われてしまう。
口元どころか、首周りや胸元までもがよだれでビショビショになっている。
私は朦朧とする頭で、服も大変なことになっているだろうと思った。
「んがじゅ! んごじゅ! ぶぼじゅ! むふぶじゅ!」
先生はなおも激しくイラマチオを続ける。
彼のペニスがもう限界で、いつでも発射できる状態にあることが──口の中全体でよく感じられた。が、彼はなかなかイカない。
がしゅがしゅがしゅがしゅ!
延々と射精寸前のヒクつくペニスで口内を犯され続けてしまう。
ただでさえ涙で霞む視界が、酸欠のせいでさらに薄く白く濁っていく。
──ああ、もう、無理かも……。意識が、飛んじゃう……。
私がそう思った、次の瞬間だった。
「あああ……奥さん、イキますよ。男性フェロモンの塊を出しますよ。あああ……しっかりと受け取ってくださいよ。ほら、くおおお……ちゃんと全部摂取してくださいよ。残らず、ほら、今出ますから──ほら、今イキますよ、おおおッ──あああッ……くあぁ! イキますよッ! イキますからねッ……! くおおおッ……! おほっ……これがッ! うおおおッ……!」
先生が、叫ぶと同時にペニスを喉の奥いっぱいまで突き込んできた。
両腕にあらん限りの力を込めて、私の頭を自分の股間に押し付けている。
「──んぼぶッ……! んぶぶぼッ……!」
彼の下腹部に顔を埋めながら、私は苦しみのあまり目を見開く。
先生の長いペニス──その先が、喉の奥をさらに越えて、ほとんど食道にまで達していたのだ。
そして彼は、そのまま男性器という名の火山を大噴火させた。
「おおおおッ……! ほおおおおッ……! うぐおおおおッ……!」
びゅるるる! びゅるるるる!
彼の身体が電気ショックを受けたかのように痙攣すると、一瞬遅れて灼熱のマグマが直接食道内に流し込まれてきた。
一発だけではない。何度も何度もペニスが脈打ち、その度に大量の精子が喉元に放出される。
拒否する機会も一切与えられないままに、これでもかという量の子種を胃に流し込まれてしまう私だった。
先生の体液。その感触、その熱さ、その匂い、そしてその味に──全身を震わせて悶絶する。
「んぼっ……んぼごごッ……!」
「うおおお……いいですよ、奥さん。素晴らしいです。お薬だと思って、全部飲み干してくださいよ……。あああ、そう。おおお……ふおおお……」
びゅる、びゅるるるる……。
「──ごぼッ、んごほッ……!」
あまりの事態に、ほとんど何も考えられない。
頭の中は真っ白で、ただ言われるがままにペニスを咥え、命じられるがままに夫のものではない精子を体内に流し込まれるだけ。
いつまでそうして精を飲んでいたのかもはっきりとは覚えていない。
ただ、不妊を治すための本格的な診察と治療──その第一日目は、いつの間にか終わっていた。