彼には、服装も地味だと言われてしまいました。
確かに私は、あまり派手な方ではありません。一般的な人妻のスタイルといった感じの──白やベージュを基調にした、露出の少ない格好です。
彼には、それが気に入らないようでした。
「服を買いに行くぞ」
ある日、そう言われて外に連れ出されてしまったのです。
人生で一度も入ったことがなく、またこれからも入ることはない──そう思えるタイプのお店でした。
ラップでしょうか? 狭い店内には英語のBGMがガンガンと鳴り響いています。
派手な衣裳に身を包んだ厚化粧の女店員さんは、まだ高校生ほどの歳であるように見えます。
彼女は、私たちが店に入るのを目にしても声をかけては来ません。不審そうな目つきでチラリと見ては、再びガムを噛みながら陳列されている洋服に手を伸ばしていきます。
「どれがいい」
彼が耳元でそう言うのですが……私にはどれもいいようには思えませんでした。
並んでいるほとんどの服が、ケバケバしい色と露出の高いデザインで──。
こんなものを着て歩けば、絶対に売女だと勘違いされてしまうようなものばかりなのです。
店員さんのように、まだ高校生ぐらいの年代で──髪の色を染めて肌を黒く焼き、ガムやタバコをやりながら歩くのなら似合うのかもしれませんが……。
私は二十六にもなる、れっきとした人妻なのです。どれも選ぶことなどできませんでした。
私の困惑を悟ったのか、彼は並んでいる洋服を適当に選んでは、次々と腕に抱えていきます。
そしてその量が充分になった時、彼は店員さんに何も言わずに試着室へと歩いていくのです。もちろん私の腕を握って。
「あ……」
睨みつけるようにこちらを見るも、文句は言わない店員さん。
私はそんな彼女の視線を背に受けながら、試着室へと連れ込まれてしまいます。カーテンを閉めると、男と二人で鏡の前に立っているという状態。
「おら、脱げよ」
彼は言いながら私の服を剥ぎ取っていきました。どうやら、性的に興奮している様子。
まさかとは思っていた私の口に、彼はさっそく食らいついてきます。
BGMがすごいので、ネチョネチョといういやらしい音は外にまで聞こえないと思いますが……試着室の中で隠れてこんなこと──。
あり得ない行為に戸惑いを隠せません。
けれど抵抗もできないうちに──上も下も服を脱がされて、下着だけの姿にさせられます。
全身が映る鏡の前で、くまなく肌を愛撫されて、
「あぁ……はぅぁ……」
思わず声も漏れてしまいます。
彼は自分で適当に選んできたその派手で露出の高い洋服を、一つ一つ私に着させてくるのです。
肩もお腹も丸出しになるチューブトップ。
お尻の肉が半分以上ハミ出してしまうほど小さなホットパンツ。
下着まで透けて見える薄いキャミソールに、胸の形がくっきりと浮かび上がるピチピチのTシャツ。
痴漢願望を疑われそうなミニスカートに、バブル時代を思わせるエナメルのボディコンシャス。
前だけを布で隠し、背中は紐で留めておくだけの変わった洋服もありました。
けれど、そのどれもがやはり──人妻が着れば正気を疑われるようなものばかりだったのです。
「どれがいい」
どれがいいと言われても……。いいものなんて一つもありませんでした。
それでも彼は、私にいやらしい服を着させて満足している様子なのです。「全部買っていくか」などと独りごちては、私の身体を撫で回しています。
お尻に触れている彼の股間は、すでに異様な膨らみを見せていて……。
「アンッ……ンアッ……ま、待って……! アンンンンッ……!」
案の定、私は試着室の中で──鏡に両手をついた立ちバックの格好で犯されているのでした。
しかも、いつもに増して激しいピストン。
ズバンズバンズバンズバン!
彼の股間が私の尻肉を激しく打ち、盛大な音が響きます。
試着室自体も、そんなに丈夫な造りではありません。ただの箱といってもいいようなもの。私が一発突き込みを食らうたびに、ガタガタと全体が揺れています。
店員さんには絶対バレてる……。
そう思いながらも、興奮した彼のペニスにどうすることもできず股間を濡らし、快楽を叩き込まれていく私なのでした。
「アオアッ……ケンジ様ッ……も、もうッ……私ッ……ンンンンンンッ!」
ここが店の中であることも忘れて、私は普段ベッドでそうしているように──ヨダレを垂らして全身を波打たせます。
「アンアッ……アアッ……スゴッ……アアアッ!」
すぐさま、びゅるびゅると精液が子宮を満たし、そしてまた抜かずの二ラウンド目が始まるのです。
「ケ、ケンジ様ッ……も、これ以上はッ……ハアッ! アハァッ! アハンッ!」
気が付けば下着も剥ぎ取られていました。私は鏡に映る全裸の自分と向き合いながら、さらに膣内を気持ちよく溶かされていきます。
「イグッ、ぎう、イグッ……イグッ、イグッ、イグうううぅぅぅ……!」
もう絶対に──バレてるどころの話じゃない……。
私はイキながらも、そんなことを考えました。
持ち込んだ洋服たちは全てが床に散乱していて、それらの上にもヨダレや愛液が飛び散っていきます。もうこれらを元に戻すことはできないでしょう。買い取り決定です。
ああ……次からはこんな破廉恥な服装でデートさせられてしまうんだ……。
そう思った瞬間、またしても身体の中で快感が爆発します。女の本能を剥き出しにされて、もうあられもなくよがり狂うしかない状態。
声も何も、我慢することなどできませんでした。
結局二発目を発射されるまでに、何度もイカされてしまいました。
最後、試着室の床に崩れ落ちた私に向かって、彼は大量の精液をぶっ掛けてきたのです。
ドロドロと濃密な白濁液を顔中、身体中に浴びせ掛けられ──私は床の上でまたしても絶頂に追いやられました。
一時間近くは、二人で試着室にこもっていたと思います。
ようやく元の服を着直して出た時には、店員さんに話し掛けられてしまいました。
「お客さん……。スゴかったね……。カレシのおちんちん、気持ちよかった?」
彼女はずっと私たちの声を聞いていたそうです。後半は、カーテンをめくって覗いていたとも言っていました。
必死に頭を下げる私に、「こっちもいいモン見させてもらったから気にしないで」と言ってくれるのですが……。
「スゲーいいカレシだね。野獣みたいで……羨ましいわ。私にもあんな男がいたらなぁ……」
遠くでまた洋服を物色しているケンジの方を見て言います。彼女の手は、私のお尻を鷲掴みにしています。
「お客さんも、淫乱なんだねぇ……スゴイ声だったよ。美人で大人しそうな感じなのに……。そんなにアイツのチンポ好きなんだ?」
恐ろしいことを聞いてきます。
戸惑い、返事もしない私の耳元に口を当てて、
「ねぇ、どうなの?」
彼女は、私からどうしても“その言葉”を聞きたい様子でした。彼女にしても、私たちのセックスを覗き見て興奮していたのだと思います。
私は迷惑をかけてしまったこともあり、これ以上心苦しさを感じる訳にはいきませんでした。
なので……、
「……は、い……好きです……。彼のチンポが……大好きで……。とても……気持ちよくさせていただきました……」
尻を揉まれながら、ずっと年下の彼女にそう答えたのです。
意識が飛んでしまうかと思うほどの羞恥に、全身が痺れます。
彼女は満足したように頷いて、精算に入ってくれます。
私がカードで支払いを済ませ、両手一杯に袋を下げて店を出た時には──彼がまたぴったりと私の身体に密着し、腰に手を回してくるのです。
結局、しばらくの間は、パンツが濡れて気持ちの悪いまま街を歩かなくてはいけませんでした。
顔にも身体にも精液が付着しているのです。匂いで周りの人にバレたりしないかと心配でたまりませんでした。
夫にはそんな洋服を買ったことがバレないよう、クローゼットの奥深くに隠しておきました。
けれどケンジ様は、これから毎回そういう格好をしてデートしろと言ってきたのです。
となると、これからさらに量も増えていくことでしょう。
果たしていつまで隠し通すことができるか……。
私は夫に気付かれないように、ゆっくりと服装を変えていくことを決意しました。少しずつ派手な色を混ぜていき、少しずつ露出の多いものを着て過ごしていくのです。
そうすれば、徐々に彼の目も慣れて──いつかこれらの存在がバレてしまっても、何とか言い訳ができるかと思うのです。