結局、家には帰れませんでした。
おへそのピアスはまだマシな方で、夜の営みを拒めば一週間でも隠し通せるものでしたが……この茶髪は、家に帰った瞬間にバレてしまう上に、ピアスより夫を驚かせるに違いなかったのです。
なので……仕方なく、夫に電話です。
独り暮らしをしている女友達が熱を出して大変だから、治るまで泊り込んで看病する──私からそう言い、隣にいた美咲にも迫真の演技をしてもらって、どうにかこうにか納得してもらうことに成功しました。
けれど、彼の追及はなかなかに厳しいものがありました。
もしかすると、薄々私の変化に気が付き始めているのかもしれません。
もしも美咲の演技がもうちょっと下手だったら「俺に嘘をついて一体何をしているのだ」と怒鳴られていた可能性もあったのです。
しかしこれで、とりあえず数日間は破局を先延ばしにすることができました。
もっとも、その後のことだって、私にはどうしていいかさっぱり分からなかったのですが……。
翌日、ユウイチ様に外に連れ出されてしまいました。昨日お風呂で言われたことを、さっそく実行に移された感じです。
「ケンジのためにそこまでやったんなら、俺の命令だって聞けるよな?」
炎天下の住宅街を、腰に手を回されながら歩いています。私はもちろん、「はい」と素直に答えるしかないのでした。
「俺もギャルっぽい女が好きだからよ、これからは俺の好みにも染まってもらうぜ。今のお前自身を捨てることになるけど……もちろんできるよな? お前は俺の女でもあるんだからよ。生まれ変わっちまうほどの変化だって、余裕で受け入れられなきゃ嘘だろ? なぁ!?」
「……は、はい……」
筋骨隆々で男らしく、空手着でも着せれば似合いそうなケンジ様に比べて──ユウイチ様は外見的には「チャラ男」に近いタイプの人でした。いや、それでも並みの男よりは背も高く、日焼けした身体にはしっかりと筋肉もついているのですが……。
けれどやっぱり、脱色した長い髪を後ろで一つに縛っていたり、花柄で黄色いシャツを着ていたりすれば、そんな印象にもなってしまいます。
しかし、外見的にはそうであっても内面的には──もしかしたらケンジ様よりもずっと厳しい人なのではないか。すでにそんな気さえしていた私でした。
ユウイチ様がケンジ様以上にギャルでビッチな女性が好きなことは、彼が美咲を選んだことからも窺い知れます。
そう考えてみると……もしかするとケンジ様よりもユウイチ様の方が、私に取り返しのつかない変化を強要してくるのではないか──そんな気がして不安になるのでした。
ユウイチ様が向かった先は、駅の近くにある雑居ビルでした。
狭いエレベーターで、五階まで上ります。
ドアが開いて一歩踏み出すと、もうそこには靴を脱ぐスペースがありました。
まだ何のお店なのか分かっていない私の手を引いて、彼はカウンターへと向かいます。
慣れた感じで受け付けを済ませると、今度はカウンターとは逆の方向に進みます。開けっ放しのドアを抜けると、何人もの人が同時にドライヤーできる化粧室のようなものがあって……。
さらにその先のドア、何かの個室のようなところに連れていかれました。
「ユ、ユウイチ様……?」
何が何やら分からない私を、部屋に引きずり込む彼。
そしてその時になってようやく、ここが何のお店であるのか理解する私なのでした。
日焼けサロン。略して日サロ。
個室の中にデデンと置かれた、巨大な日焼けマシーンの存在。それが、私に答えを教えてくれたのでした。
個室と言っても、中は広い造りです。透明な筒のような形をしたシャワースペースもあれば、テレビやカラオケ、ソファーやベッドまであって──まるで豪華なラブホテルの一室に、超特大の日焼けマシーンを搬入しました、という感じ。
見るからに高そうな部屋でしたが、ユウイチ様は常連なのでしょうか、自分の家のように慣れた感じで私を案内してくれるのでした。
服を脱がされながら話を聞くと──ここはカップルが二人一緒に日焼けを楽しむことができる特殊な店であり、多少値は張るが、女を抱きながら日焼けができるのでよく使っているとのこと。
きっと数多くのギャルをココに連れてきては、その子とセックスをしながら日焼けしてきたのでしょう。そして今日私も、彼が連れ込んだ数多くのギャルのうちの一人になってしまう訳で……。
ユウイチ様にとって、自分など別にたいした女ではない──ひょっとしたら使い捨てで、好みの姿に変身させられるだけさせられて、抱かれるだけ抱かれたらポイされるかもしれない。そんなことを思って少し心が痛みました。
が、彼に全裸にさせられて抱き込まれると、文句を言う気もなくなってしまう私なのでした。
「あの、ユウイチ様にとって私って……使い捨ての女ですか?」
一応聞いてみましたが、帰ってきた答えは──。
「んあ? もちろん使い捨てだが? なんだ? 心配してんのか? 安心しろ、使い捨ては使い捨てでもな、俺ら好みに改造して、とことん味がなくなるまでしっかりと使い切ってから捨ててやるからよ……」
はっきりと使い捨てだと言い切られているのです。決していい答えではないのでしょうが──それでも私にはありがたい言葉でした。だって、今すぐに捨てられる心配はしなくてもいいのですから。
「あ、ありがとうございます……これからも、いっぱい……使ってください……」
それから、二人で日焼けマシーンに入りました。
クーラーをつけて涼みながら焼くこともできたのですが、それは彼の好みではないようでした。
「こうやって汗だくで女の股をグジュグジュするから気持ちいいんじゃん。ヌルッヌルで全身溶けそうだろ? お前もこの方が気持ちよくて興奮するだろ」
「んはッ……はい……気持ちいい……興奮します……」
仰向けになる私の身体に、彼が覆い被さっている状態。ユウイチ様が上下に身体を滑らせるたびに、私の胸やお腹、太ももの辺りからジュルジュルと音が立つのです。
こんなことをしながら日焼けができるなんて……すごい時代なんだなぁと思いつつ、私は表面も裏面も、全部彼の胸板でこすられていくのでした。
もうローションも何も必要ありませんでした。彼の勃起ペニスが私の股間の辺りに近づいただけで──ニュルッ! と当たり前のように性器と性器が繋がってしまうのです。
「……んっ、はぁ……!」
日焼けマシーンが照射する紫外線自体は、思っていたより全然熱くないのですが──外は炎天下。クーラーもつけていないこの部屋全体が蒸し暑くて……。日焼けマシーンの中はサウナのようなことになっていました。酸素も薄い気がして、油断をすればペニスを埋め込まれたまま気絶してしまいそうです。
私はもうグロッキーな状態に近いのに、さすがに男性──ユウイチ様は私の身体に汗を撒き散らしながら激しくピストンを繰り返してきます。
「あああうぅ! ああうぅ! んあああッ!」
青白い光に照らされた私の身体は、なぜかいやらしく見えます。パンパンに張った太ももなどは、普通の照明の下で見るよりずっと肉感的な感じがして……。
彼もそんな私の身体に興奮しているのか──粘つく肌を密着させて、ガツガツと子宮を責め立ててきます。
日焼けマシーンの中で、汗にまみれながらイカされた女は日本にどのぐらいいるのでしょう。たぶん、この店に来たことのある人じゃないと経験できないことだと思うのです。
ただ、一つ言いたいことは──。
もう最高に気持ちがいいので、是非みなさんやってみてください……。
私はそんなことを思いながらも、また勃起ペニスで柔肉をえぐり込まれて叫び声を上げるのでした。
もちろん、最後には生で中出しを食らいました。
そして精液が膣内に残ったまま、濃厚なキスをされて、ツバまで飲まされて……。
結局、日焼けマシーンを出るまでにもう二発。
そして出た後に、ベッドで一発。シャワースペースで汗を流しながらも一発。
計五発の中出しを食らってしまう私なのでした。
それからというもの、私の肌がユウイチ様好みの色になるまで──二日に一回というペースで、日焼けサロンへと連れて行かれました。
もちろん、行けば毎回日焼けマシーンの中で汗だくのどぎついセックスをされてしまうのです。
私はもう、ユウイチ様と一つになるために女として生まれてきたのではないか……日焼けマシーンの中、大きく広げた股間を痙攣させながらそう思ったりする私なのでした。
「あんッ……もう、気持ちいい……イグッ、イグッ……イグウウウッ!」