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淫虫症の女 2-10

 正常位。挿入時と同じ体勢のまま、十分が経過していた。

 今や彼は、目を血走らせて私の双乳を鷲掴みにしている。上から体重を掛けて、ぐにぐにぐにぐにと、柔肉を手のひら全体で押し潰してくる。

 床に押し付けられた背中は痛いし、本来なら乳房にも痛みを感じるはずの乱暴な愛撫だ。

 けれど、今の私は──そんな強引な行為にさえ、腰を振り乱して感じまくっているのだった。


「アオオオオッ……! イイッ……スゴイッ、スゴイッ……! アアアアアッ!」


 上からは大量の汗が滴り落ちてきて、快楽のあまり口を閉じられない私の喉奥にまで降り注いでいる。

 臭く、汚い、小太りな男の生汗だ。

 けれど私は、それさえをもゴクゴクと飲み下す。そしてまた、股間にぶっとい生殖器を出し入れされて身悶える。


「アンッ、もおおぉッ、ヤバイッ、またイクッ……アハアアアッ!」


 全身を痙攣させるが、男に体重をかけて乳房を押し潰されているのだ。背中を床から浮かせることはできなかった。

 行き場を失った快楽が全身に巡り、私は天井に向けていた足をブンブンと暴れさせながら絶頂に達した。


「んがぁっ……硬いッ、太いッ、長いッ、強いッ、ンンンンッ! も、これ、スッゴイッ、あうああああッ……!」


「気持ちいいか? 由里!」


 さっきまでは他人だった男に下の名前で呼ばれる快感。

 彼にまた、膣奥までペニスを突き込まれる快感。

 心も身体も溶かされて、男に味わい尽くされる快感。


「アオオオオッ! き、気持ちイイッ! 最高ッ! わ、私ッ、さっきからッ……い、イキ、イキ、イキッぱなッ……んっふううううぅぅぅッ!」


 グジュグジュグジュ!


 イッても、イッても、またペニスを突き込まれる。敏感になり過ぎた私の膣は、もう麻痺することも忘れてありのままの刺激を私の身体に送り込み続けている。

 一発、一発──強烈なピストンを食らうごとに、汁を噴き出しての連続絶頂。

 太っているからこそ、彼の一発一発は私の股間を崩壊させるほどに重かった。ビタン! ビタン! と肉の拍手は鳴り止まず、その音で耳の中まで気持ちよくさせられてしまう。


「アオオオオオオオオオオオオオッ!」


 大声をあげ、昼間からマンション中の住人に「私いま犯されています」とアピールする。そしてそんな行為が、また気持ちよすぎてイッてしまう。

 すると彼は、私に身体を被せてキスをしてくれるのだ。

 汗だくの肌と肌を密着させたままのディープキス。舌と舌が絡み合い、唾液と唾液が混ざり合い、とんでもない量の愛情が芽生える。


「んむふううううううぅぅぅぅ!」


 途中からはイキながらのキスになってしまった。

 呼吸もできないままの絶頂体験。舌を吸われながら、声にならない声で喘ぐ。

 そしてまた湧き起こる、全身の痙攣。

 嫌な汗が噴き出して、頭の中──毛細血管がブチブチと切れ始める。

 膣壁が溶けたままで収縮し、男根を締め上げて精液を搾り取ろうとしている。

 けれどまだ彼はイカない。三十四年間溜め続けた性欲と精液は、そう簡単には放出してやらないと──私の口元をベロンベロンに舐め回しつつ、徹底的に焦らしてくるのだ。

 自由になるのは、両手と両足だけだった。だから私は、その四本の棒を四方八方に暴れさせて少しでも快楽を逃がそうとした。

 このままでは本当に頭がおかしくなってしまう。もう人間としての生活が送れなくなってしまう。そんな恐怖さえ感じ始めて──。

 そして。

 三十分ほどが経過しても彼がまだ射精しないことから──私には彼の狙いが理解できてしまったのだった。

 挿入すれば終わりだと思っていた私が馬鹿だった。

 恐ろしいことに……彼は挿入してからもなお、私を焦らし続けるつもりなのである。

 できるだけ射精せずにお前を狂わせてやる、という算段だ。

 もうゴールはそこだからと気を抜いていた私をあざ笑うかのように、いくらピストンしようとも絶対に射精しない彼。


「ほら由里、ツバ垂らすから飲んで」


 そうして今は、そのピストンさえもが緩やかになってきている。


「あおぉぉ……」


 こっちはもう入れられているだけで気が狂いそうなほど気持ちいいのに、早く出してくれなければ頭がおかしくなっちゃうというのに──彼は射精感をうまくコントロールして、ギリギリのところで放出を先延ばしにしていく。






「あがぁ、んもぉ……い、イッてよぉ……。せ、精子……ちょ、ちょうだい……。く、ください……あうあああぁ……」


 口にツバを垂らされながらの懇願。

 今にも泣きそうな、気が狂いそうな、切羽詰った真剣な、心からのお願いだったのに。

 なのに……。

 彼はそんなわたしの表情を見て、嬉しそうにニヤついているだけなのだ。

 背筋が凍った。


「あ、あなたってぇ……ど、どこまで……変態なのよぉ……。もおぉ……む、無理だってばぁ……本当に……お、おかしくなるからぁ……アヒイィッ!」


 口答えしたからか、子宮口に一発どぎついピストンが浴びせ掛けられた。

 ──黙れ。

 そういう意味だ。


「……だ、だってぇ……」


 頬を伝う涙は乾くことがない。

 さっきから私は焦らされに焦らされて、もうどうすることもできず子供のように泣き続けていたのだ。


「由里……いい子だから……わがまま言わないで。僕の射精なんか気にせずにさ、ほら、今の気持ちのよさだけに集中してみてよ。ね、僕のツバだって口の中に溜まってるでしょ。その味をちゃんと確かめてセックスを楽しんで……」


「……あ、あんあぁ……んじゅる……んあぁあ……」


「どう? 僕のツバ、おいしい?」


「……あんっ、おいしいよぉ……。んもおぉぉぉ……お、おいしいけどぉ……ああああああ……いっ、いっ、イクってば……もおぉ、ダメだって、だからぁッ……んんんんんんんんん!」


 ろくにピストンもされないまま、奥までみっちりと詰まったペニスの脈動だけでまたイカされた。


「んっふうううぅぅぅぅ……!」


 絶頂とともに、男の唾液が胃に落ちていった。

 私は腰を振り、アソコを彼の股間にこすり付けてさらに快楽を貪るが……。

 やっぱり射精してもらわないとキリがないのだ。子宮内部の淫虫も、もうずっと待ち切れなくて女の肉を甘噛みし続けているではないか。

 身体中の血管に媚薬の成分が満たされて、それが全身の筋肉に行き渡っている。そろそろ人間が受け取っていい許容量を越えてしまう。


「由里……いい子だよ。そう、その調子で……もっとセックスを楽しんで……。まだまだ僕はイカないからね。もっともっと由里を気持ちよくさせて、もっともっと由里をイカせまくってあげるから。だって由里は僕の女だから……おかしくなるのなら、僕のチンチンでおかしくならなきゃね……」


「あああ……あああ……あああ」


 ズバン!


 限界まで亀頭の先を引いてからの、全体重を乗せた突き込み。


「──ッ!」


 一瞬で膣道の入り口から奥までが圧迫されて、喘ぐこともできないままイカされてしまう。


「アハッ──! カハッ──!」


 後には筋肉を痺れさせる壮絶な甘さが余韻として残り、私は麻薬を打たれた女のように白目を剥いてよがり狂った。


「あああああ……! あああああああ……!」


 霞む瞳で正面を見ると、「まだまだこれからが本番だよ」とでも言いたげな隣人の顔が見えた。





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[ 2011/11/29 15:08 ] 淫虫症の女 | TB(-) | CM(-)
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