ペチペチと頬を叩かれて、私はまた目を覚ました。
「……あぅ……あふぁ……」
重いまぶたを懸命に持ち上げると、霞む視界いっぱいに先生の顔が見えた。私の瞳を覗き込んでいる。
「──奥さん、大丈夫ですか? もう三周目らしいですが……。そろそろやめさせた方がいいですか? それとも、もっといっぱい突いてもらいたいですか? ──返事をしてください、奥さん──奥さん──」
「……あが……あ……」
「返事がないってことは、もっとして欲しいってことでいいんですね? 本当にそれでいいんですね? 奥さん? もう一周マワしてもらいますよ?」
「……あぁ……、あ……」
「──じゃあ、そういうことらしいので──続けてください──」
「……か……は……んぁ……」
また私の下に新しい男の人が身体を滑り込ませてきた。
皮の張ったペニスを仰向けになる私の尻穴にあてがう。
大量に中出しされた精液がローション代わりになって、比較的大きなサイズのソレもにゅるっと抵抗なく根元まで埋め込まれてしまった。
「……んはあぁ……くうぁ……」
大きく喘ぐにはそれなりの力が必要だ。そんなことを、今この時になって痛感した。
身体の内部までが脱力したり痙攣したりして、自分の意思では制御できなくなっている。
ゆえに大きく息を吐き出すこともできないし、叫び声を上げることもできない。
そう、「もうやめてください」と訴えることですら、今の私には難しい行為だったのだ。
はたから見れば自我のない人形のような姿に見えるかもしれない。
が、自分としては人生で一番感じてよがっているつもりなのだ。
派手な感じ方ではないから勘違いされてしまうのだろうが、実際には派手な感じ方ができないほど派手に感じさせられているのだった。
「……ぁ……あはぁ……んぐあぁ……」
男性の腹の上で仰向けになり、アナルにペニスを挿入されている。
そんな私の足を、左右から二人の男がそれぞれ掴んできた。
彼らはしっかりと足首に指を食い込ませると、飢えた獣のように指へとむしゃぶりついてくる。
生温かい舌で指の間を舐め回される。一本一本丁寧にしゃぶられ、吸われ、全部の指を一度に口内に含まれて甘噛みされる。足の裏をベロリと舐め上げられて、かかとをガジガジと噛まれる。
くすぐったさは全て快楽に変わり、股間を一段とトロけさせる原因になった。
頭がおかしくなってしまうかと思うほどの興奮。
「……うぁぁ……」
足を舐めている二人がそれぞれ好き勝手やっているせいで、私の股は百八十度近くまで広げられた状態。体操選手かというほどの際どい格好である。
股関節から太もも、ふくらはぎの筋肉までもが弛みきっているせいで辛さはない。が、アソコが無防備にさらけ出されていることは大問題だった。
こんな状態の女──それも彼らからすれば娘か孫かといった若い女だ──を、ここにいる男たちが放っておくはずもなく……。
すぐに一人の体格のいい中年男性が正面に歩み出てきた。まるで往年のプロレスラーかというほどの、筋骨隆々のおじさん。
もちろん彼も全裸で、その股間には日本人離れした巨大なペニスがそそり立っているのだ。
失神していた間のことは覚えていないが、もうすでに何人もの男に何千回とピストンされているはずだった。
アソコはグズグズに溶かされているし、敏感を越えて鋭敏になってしまっている。
こんな状態のままで、あそこまで立派なペニスを突き入れられたら……私は一体どうなってしまうのか。
「……んぁ……んあぁ……」
涙を流して弱々しく首を振る。
が、そんな私の頭を先生が両手で優しく包み込んできた。
「どうですか奥さん、妊娠できそうですか? ふふふ……不妊なんてものはね、妊娠したいと思っている女性と、妊娠させたいと願っている男性──その二者が揃うだけで簡単に治ってしまうものなのですよ……」
プロレスラーのおじさんが、元気に跳ねるペニスを手で押さえつけ、私の入口に近づけてくる。
「もうこの際ですから全部正直にお話しますが……。いいですか奥さん……ここにいる男性たちはね、みな自分の人生では子供を残すことができなかった人たちなんですよ……」
下からアナルに突き込みをしている男がペニスを痙攣させた。射精が近いのだろうか、私の腰を両手で掴んで激しく上下に動かしてくる。
がしゅがしゅとお尻の肉が削られて、意識が飛びかける。
「……んぐうぅ……!」
「ふふ、そうです。気持ちいいでしょう。彼らの“自分の遺伝子を残したい”という思いは強力ですからね。何発でも容赦なく発射してもらえるはずです。女を孕ませることのできる機会など、そうあるものではないですからね。しかも、あなたのような美しい人妻に種付けできるとなるとなおさらです。これが最後だと思って、きっと玉が空っぽになるまで打ち尽くしてくれるでしょう」
プロレスラーの彼が、ぷっくりと腫れ上がった私のアソコに、亀頭の先をこすりつけてくる。
じゅくじゅくと卑猥な音が立ち、また女の細胞にオスの体液が染み込んでいく。
「“一念岩をも通す”という言葉もあるように……この世では絶対にやってやるぞという強い意志さえあれば、たいていの不可能など不可能ではなくなってしまう訳です。しかも“病は気から”という女性側の問題も、その人が感じうる最高レベルの興奮で吹き飛ばしてしまえば──ふふふ、その時、その女性の妊娠確率はどれほど高くなるかご存知ですか」
男性がその大きな亀頭をズブリと膣内にめり込ませてくる。
濡れて、溶けていた私のアソコ。いつも以上に敏感なそこを、脈打つペニスで侵略される。
「くっふぁあああぁ……」
「今、あなたはとても興奮していますね。きっと女性ホルモンがドクドクと大量に分泌されているはずですよ。ほら、自分でも分かるんじゃないですか? 女の本能が全開になって、身体が変化しているでしょう? 男性の遺伝子を受け止めたいと、子宮が切望しているでしょう?」
男が根元まで怒張を突き込んできた。
膣道が破裂しそうなほどに伸ばされ、子宮口は汁の滴る尿道口で押し潰される。
「あ……かはぁ……」
涙とよだれが止まらない。
私は全身を痙攣させながら、顔を覗き込んでくる先生と見つめ合った。
イッている表情を余さず彼に見てもらう。
「ふふふ、気持ちよさそうですね。最高ですか? ほら、奥さんの身体は今、不妊に悩んでいたことなんて忘れてしまっていますよ。脳の奥も子宮の奥も──男の精を受け入れ、子供を作ることしか考えていないはずです。だから、ね……もういいじゃないですか。もう素直になって全てを受け入れてしまいましょう。今日は我慢せず、受精して、妊娠して、気持ち良くなって帰りましょう。ね」
アナルにも膣にも、男性の生殖器が入り込んでいる。奥にまでめり込んでいるのだ。
あとはこのまま射精して精子を吐き出されるだけで、私は妊娠してしまう──。
おかしなことに、本当にそう思えた。
私は今日、確実に妊娠する。肌でそう理解した。
自分がこれほどまでに“女”になり、みんながこれほどまでに“男”でいてくれる。
ただそれだけで、あれだけ悩んでいた不妊という事実、そして今も妊娠しにくいという現実さえ些事に成り果ててしまったのだ。
「んっはぁあああっ……」
「ほら、素直になってください。気持ちいいでしょう? 妊娠したいでしょう? あなたを孕ませたいと心から願っている男たちの子を産みたいでしょう?」
「んあああッ! んはあああッ!」
先生の言葉に興奮しているのは私だけではなかった。
前後の穴にペニスを出し入れしている二人の男性も、理性を失って獣と化している様子。
もう穴に棒が入っているだけで、相手の気持ちが全て把握できてしまう。
魂まで溶け合うような一体感。
繋がっている男性が、どうしても他人だとは思えない。何か一つの大きな生命体、その凹と凸──そんなものになった気がしてしまうのだった。
だから私は、本気でこの人たちの子なら産んでもいいと思った。
夫のことなど頭になかった。
それよりも、この人たちの子供を産みたい。
その思いだけがピストン一往復ごとに大きくなっていく。
そして今や私は、完全に心を解放していた。
身体はもうとっくに全開にしていたから、これで全てをさらけ出した格好になる。
本当の私の姿、それは──子孫を残したいと切望する一匹の野性的なメス、それ以外の何ものでもなかったのだ。