一ヶ月経っても、生理は来なかった。
久しぶりに先生の病院に行って、まともな検査を受ける。
すると、やはり妊娠しているとのこと。
しかも詳しく調べてみると、どうやら先生の子供を身ごもっているらしいのだ。
検査の結果がいりますかと聞かれて、私はもちろん必要ないと言った。
詳しい検査はしていない──。そういうことにさせてもらう。
ここで握りつぶしておけば、私と先生だけの秘密にしてしまえば……バレずに夫の子供だと言い張っていくことができるはずだ。
幸いにも私の血液型はAO、そして夫のはBOだ。
A、B、O、AB、すべての血液型の子供が産まれてくる可能性がある。
子供が何か大きな病気をするとか、そういったイレギュラーさえなければ、いつまでだってごまかし続けることができるはず……。
先生は検査の間も、終始私のそばに寄り添っていた。
結果が出た時には、ものすごく嬉しそうな顔をしていた。
そんな彼の表情を見て、私も何だか幸せな気分になってしまうのだった。
「……ァンッ……ンンンッ……ンハッ、ンハッ、ンハッ──」
病院のトイレ、その個室で──。
私は先生に犯されていた。
今日はジーンズを履いていた。なので、パンツと一緒にそのジーンズを膝まで下ろしただけの格好。
トイレタンクに手を突いて、突き出したお尻を先生に向け、見事なまでに勃起したペニスで交尾させられている。
私は必死に手で口を押さえ、声が漏れないように努める。
が、先生はズバンズバンとお尻に腰を叩きつけて、大きな音を立てている。容赦も遠慮もない獣臭い突き込み。
こんなの、人が来たら絶対にバレると思う。
「センセッ、静かにッ、お願いッ──」
「ハァハァハァハァ──ハァハァハァハァハァ──」
彼は私の耳もとで、珍しく荒い息を吐いていた。
検査の結果が判明してから、先生の様子がおかしいのだ。百戦錬磨であるはずの彼には似合わないぐらい、ものすごく興奮してしまっている。
その姿はまるで──女を覚えてすぐの時期に、必死で結合を求めてくる思春期男子のそれだった。
「ンアッ、センセッ、ゆっくり、もっとゆっくり──ンンァアアッ……人が来ちゃう──バレちゃう──ンンアッ、ンンァ、セ、センセイったら──ンンンンアアアッ……」
我慢できなくなった先生に無理矢理トイレに連れ込まれ、パンツをずらしただけで前戯もなく犯されている。
だというのに私のアソコはすでにぐしょぐしょに濡れて彼のイチモツにまとわりついているのだった。
彼に襲われると、身体が自動的に反応してしまうようになっていた。すぐに余裕がなくなり、あられもなく頭を振ってよがる。
「アンッ、アンッ、アンッ、アンッ」
亀頭が奥まで侵入してくる。
子宮がゴツゴツと叩かれ、まだそんなに大きくなってはいないといえ、お腹の中の赤ちゃんがびっくりしないかと心配になる。
だらだらと愛液を垂らし、ズボンをぐっしょり濡らして、私は膝を震わせて快感に酔いしれた。
「ンハァ、ンハァ、奥さん、最高ですよ。ンハァ、私の子供を妊娠した奥さんは、ンハァ、美しいですよ。可愛いですよ。ンハァ、ンハァ、あああ、スゴイですよ、もう本当に、アアア、たまらなく魅力的ですよ。奥さん、ンハァ、奥さん、アアア、本当に私の子供を産んでくれるんですね。アアア、人妻に自分の子供を孕ませて、アアア、本当に産ませることができるなんて……、うおおおお……っくああああ──こんなに気持ちいいことは、ぐおおおおおっ、ないっ、ですっ、よっ、おおおおおおおおっ!」
びゅるびゅるびゅる──。
我慢できなかったのか、先生がイクとも言わずに射精した。
急に熱いマグマを膣いっぱいに注ぎ込まれ、心の準備もできないままにイカされた。
歯を食いしばって身体を痙攣させる。
叫び声を上げることだけは免れたが、これ以上続けられるとヤバイと思う。絶対に声を我慢できなくなるし、100%バレてしまう。
私はとっさに震える身体を床に崩すと、すぐに上半身の向きを変えた。
まだびゅるびゅると射精している最中の彼のペニス。それを口にくわえ込むと、一気に喉奥まで──口内の全部の壁を使って激しくしごき立てる。
ごじゅごじゅごじゅと自ら頭を動かしてペニスに快感を与えていく。
この発情した男性器を何とか鎮めないと──その一心で。
「おおおおおぅ! おおおおおおっ! ぐあああああっ!」
先生はこれだけ気持ちがいいのなら膣でも口でも構わないといった様子だった。激しくペニスを痙攣させつつ、腰を振っている。
びゅるびゅると射精したままのペニスで、喉を犯される。
大量の精子が胃に流れ込んできて、目からは涙も溢れてくる。
それでも、この場所で下半身を貫かれるよりはずっとマシ──そう思って、口内に溢れた精液が逆流して鼻から出てくることにも構わず、ただひたすらに口淫に耽った。
やがて先生が数百CCもの精液を吐き出し終わり、満足して冷静さを取り戻すその時まで、私はずっと臭いザーメンを飲まされ続けたのだった。
その日の夜は、私の方から夫をベッドに誘うことにした。
お気に入りの赤い下着に身を包んで、彼に身体を捧げる。
せめてもの罪滅ぼしのつもりだった。
そんなことぐらいでどうにかなるほど軽い罪ではなかったけれど……。
それでも、夫には謝っておきたかったのだ。たとえ私の心の中だけのことではあっても──。
お互い全裸でベッドの上。私はありったけの心を込めて、全力で舌を動かして彼のペニスをしゃぶり上げた。
今日はどうしたんだと不思議な顔をされてしまう。
だけど彼もだんだんとノッて来てくれて、結局最後は二人で盛り上がることができた。
先生とのセックスと比較しても、そう悪くないと言えるほど感じ合い、乱れ合い、繋がり合えた。
彼の精子を中に注ぎ込まれながら、愛情たっぷりのキスをする。
愛してる愛してる愛してる愛してる──心の中で呟く。
彼は私を腕に抱き、幸せそうな顔をしてくれている。
私はホッとして、何日も言うタイミングを逃し続けていた事実を、ようやく口にすることができたのだった。
「ね、報告したいことがあるんだけど……」
「ん? どうした?」
今日の私は明らかに様子がおかしかった。
彼も薄々は、何かあるなと気が付いていたようだった。
だから私が「妊娠したの」と口にした時、彼は驚くというよりも、「やっぱり来たか」という表情をしてこちらの顔を見つめてくるのだった。
彼はまず初めに目を見開き、そして次に口元を緩め、そして最後は満面の笑みを浮かべて唇に吸い付いてきた。
ベッドの上で、息もできなくなるほどぎゅっと抱きしめられる。
セックス終わりの汗ばんだ身体をごしごしとこすりつけて、笑い声を上げる。
「ははははは! やった! でかした! よくやった! うははははは!」
彼は子供のように、心の底から喜んでいた。
赤飯だ、いや寿司だと一人で盛り上がっている。
私も、夫がこんなにも喜んでくれていると、やっぱり嬉しい気持ちになってしまうのだった。
が、100%よかったと言うことはできない。
どうしても拭い去れない、後ろめたい気持ちも、心の底には沈殿している。
お腹にいるのは、先生の子なんだから……。
でも、私は──。
これでいいと思うのだ。
だって一番最初……、先生にいやらしい診察をされているのを話すか話すまいかと迷っていたあの時。
そう、あの時から、夫にはいい報告だけをしようと心に決めていたのだから。
悪いことはイチイチ言わない。悲しませる結果にしかならないのなら、言わなくていい。
いい報告だけをして、残りのことは、それこそ私が墓場まで抱えて行けばいいだけの話。
最初からそう決めていたのだから……。
「んぁ……」
彼が私を強く抱きしめて、熱いキスをしてきてくれた。
その舌を受け入れながら、私は改めて思うのだった。
──これでいいのだ、と。