一年という長い海外生活を終えて、今日ようやく、雨宮健二は日本の土地を踏みしめることができた。
空港を出るとすぐにタクシーを拾い、寄り道もせず真っ直ぐに家へと向かう。
新婚のまま一年ものあいだ妻を抱くことができなかったのだ。あと少しで彼女に会えるのだと思うと、それだけで胸が高鳴って股間の辺りがムズムズしてくる。
彼女もきっと自分の帰りを今か今かと待ち望んでくれているはず。自分の姿を見れば、きっと可愛らしい反応をしてくれるに決まっていた。
抱きついてくるか、それともキスをせがんでくるか──。
これからは毎日、妻を愛し、心も身体もたっぷりと可愛がってやろうと心に誓った。
溜まりに溜まった愛情と性欲を、何ヶ月もかけて全部彼女の中に注ぎ込んでやる。
会えずにいた時間を取り戻すような、情熱的で幸せな日々を送ろう。
そうだ、子作りに励んでもいい。これからはずっと日本で一緒に暮らしていけるんだから、家族が増えても楽しそうだ。
とにかく、今まで我慢してきた分も、思いっきり彼女と一つに溶け合おう。心も身体も一つになって、絶対に幸せになってやる。
健二は後部座席に身を沈めながら、窓の外を眺めてそんなことばかりを考えていた。
タクシーから降りて家の前に立つと、懐かしいという感覚しか湧いてこなかった。スーツケースを転がして、チャイムを鳴らす。
ピンポーン。
元気な妻の声が聞こえるかと思ったが、反応はない。
もう一度チャイムを鳴らす。が、やはりウンともスンとも言わない。
──おかしいな。今日この時間に帰るということは伝えてあったはずなのに……。
仕方なく健二はゴロゴロと荷物を引っ張って、玄関のドアに手をかけた。
ガチャリ──。
鍵はかかっていない。普通にドアは開いて、出発した時と変わらない玄関の様子が目に飛び込んできた。
こんな無用心なことはない。恐らく奈々子は中にいるのだと思う。何をしているのか知らないが、出てこれない状況にでもあるのか。
──まぁいい。
少し違和感を覚えながらも、健二は約一年ぶりに、自宅へと足を踏み入れた。
廊下を抜け、ドアを開けてすぐの場所で──健二は手から荷物を離して棒立ちになっていた。
リビングの真ん中で繰り広げられている光景が目に入っても、それが何なのか理解できない。脳が受け入れることを拒んでいた。
健二はただただ口を半開きにし、魂の抜けきった顔のまま進行する事態を眺め続けているしかなかった。
お腹をぷっくりと膨らませた全裸の奈々子が、両足を百八十度近く広げた格好で──床に寝そべる「父」の腰にまたがっている。
父、一雄もまた全裸だった。足の裏を健二の方に向けて大の字になっている。
妻は裸の一雄、彼の股間に腰を落とし込んでいるのだった。
離れた場所からでも、いきり立つ男性器が奈々子のアソコに埋め込まれているのがよく見えた。
男と女、二人の汗ばんだ肌は湯気でも立つのではないかと思えるほどに紅潮し、それにともなって濃密な性臭が部屋中に充満していた。
実の父と、妻であるはずの奈々子との……騎乗位セックス。
それ以外の何物でもなかった。
「……あ、ああん……お義父さまぁ……。き、気持ちいい……気持ちいいですぅ……あんっ……。あ、んあっ、んふっ……さ、最高おぉ……んううっ」
奈々子は健二に背を向けた状態だった。まだ夫の帰りにも気が付いていない様子である。夢中になって腰を振っては、勃起ペニスを膣壁でこすり、染み出す快楽を味わい尽くしている。
一雄はそんな奈々子の上半身を、両手を使って撫で回していた。汗に濡れた肌が皺くちゃの手のひらで揉みほぐされていく。
妊娠何周目か知らないが……もう取り返しのつかなくなるまで腹を大きくさせた妻が、バチュバチュと一雄の腰に股間を落していく。
「……んあっ、あんっ、あ、わ、私はぁっ……お、お義父さまのモノですぅ……。あんっ、んふぁっ……も、もうお義父さまなしではっ……生きていけませんっ……んふッ!」
義父の目を見つめながら、自発的にそんなセリフを口にする彼女。
勃起ペニスを貪るその腰つきが、本心からの言葉であると如実に物語っている。
健二はその時になってようやく、彼女の背中に文字のようなものが刻まれているのに気が付いた。
いわく、
「一雄様専用性奴隷」
──っ。
見覚えがない訳がなかった。
向こうで毎晩覗いていた人妻陵辱サイト。そのモデルである「妻」とまったく同じ場所にまったく同じ文字が刻まれているのだから……。
それでも、信じられなかった。
信じたくはなかった。
その時、激しく腰を振り続けていた奈々子が絶頂に達した。
ガクリと全身を脱力させて前のめりに倒れ込む。床に寝そべる一雄の胸に頬を預け、なおもピクピクと身体を痙攣させる。
健二はそんな妻の姿を見ても、まだ動くことも声を出すこともできずにいた。顔面を蒼白にさせて、ただ立ち尽くしているだけである。
健二の存在に、妻より先に実の父である一雄が気付く。
「おう、健二よ……帰っとったんか……。長いあいだ大変じゃったのう……。疲れとるじゃろ。まぁ荷物を置いてゆっくり休むとエエ……」
彼は胸の上でぐったりとする妻の上体を抱きしめ、さらに激しくペニスを突き上げながらそう言った。
まるでおかしなところは何もないというようなその言葉。
健二は頭をガツンと殴られた気分だった。
奈々子もようやく夫の帰りに気が付いたようで、一雄の身体にしなだれかかったまま、首だけを後ろに振り向けて言う。
「あんっ、アナタ……ん、お、お帰りなさいっ……んあっ」
彼女にしても、別段悪いことをしているという感じではなかった。
ごく当たり前のようにそれだけを口して、すぐに視線を一雄の顔に戻しては──彼の唇にむしゃぶりつく。
パンパンパンと再び自分から腰を上下させ、ペニスを激しく膣奥に迎え入れる。
「……あんっ、幸せですっ、奈々子はっ……! 一雄様の女にしていただけてっ……! あんあんっ……! 一雄様の子供を身ごもらせて頂いてっ……! んひぃッ──! な、奈々子はもう、あ、ま、またッ──イ、イッて、イッて──イッてしまいま、すうッ──! あ──アアアアアッ──!」
「ククク、よおし……ワシもトロトロのザーメンをたっぷり注ぎ込んでやるからの……。ほうれ、糊のような濃い精子を子宮口になすりつけてやるわい……」
「あああ──! お義父さまの精子ッ! あんッ! くださいッ! ナカにッ! 奥にッ! お腹にッ! んぐああああああッ──! あがっ! あがっ! んぐううぅッ!」
荒い息遣い。何種類もの粘液が混ざり合い、二人の身体を包み込んでいる。
アゴを上に向けてブルブルと全身の筋肉を痙攣させている奈々子。発情期の動物然とした気持ちよさそうな嬌声。頭の中も空っぽにして、牝の本能を全開にして男と一つになっている。
健二は吐きそうになり、その場で口を押さえてしゃがみこんだ。
そんな彼に、実の父親である一雄は言うのだ。
「ククク、健二よ、心配するでない。たまにはお前にもワシの女を貸してやるからのう……。たっぷりと性技をしこんだ上玉じゃ……。きっとお前も気に入るじゃろうて……カカカ!」
床に膝をついて、妻の姿も見れなくなっている健二。
一雄は追い討ちをかけるかのごとく言葉を続けた。
「もうワシのチンポで完全に調教済みじゃ……。何をしてもよがり狂う変態になっとる。チンポのことしか考えられん変態M女にな……。頬をビンタしても首を締めても顔に唾を吐いてもええぞぉ……。こいつは屈辱的に犯されるのが大好きでな、膣を痙攣させてエエぐあいにイキよる、ククク……。ほら、奈々子よ……健二にもっと恥ずかしい姿を見せるんじゃ……。お前は人に最低な姿を見られるのも大好きじゃろうが……」
パンッ!
一雄が真っ白い奈々子の尻を打った。
嫌なのか嬉しいのか判別のつかない悲鳴を上げて、奈々子は中出しを食らって精子まみれになっているであろう膣で……再び巨根をマッサージしはじめた。
両足も腰も、身体の大部分が震えている。ただ動くことですら気持ちよすぎて辛いといった様子である。
が、それでも彼女は一雄の命令通りに必死になって腰を動かす。
「……あん……アナタぁ……見てえぇ……。わらしぃ……イクからぁ……またおチンポでイカされるからぁ……んふあぁ……。見てぇ……イク、からっ、見てっ、んあっ、あああ、あああッ……! んふあああああっ……!」
一雄は下から、奈々子は上から激しく動く。どちらかの力だけでは生まれない、猛烈なピストン。
結合部からリズミカルに覗く一雄のペニスは、精子と愛液がこびりついて真っ白に染まっていた。
奈々子はすぐにイッた。
我慢も何もあったものではなかった。汗を撒き散らし、魂を迸らせながらあっけなく絶頂に打ち震える。
「んがあぁ……し、幸せれす……わ、わらしぃ……。んおお、お、お義父さまの精子がぁ……。ん、ま、まだぁ……な、中でぇ……ビ、ビチビチしてますぅ……ご、ごれあああぁッ……」
「ククク、あんまり激しくすると腹の子が流れてまうぞ……。興奮しとるのは分かるがほどほどにせえよぉ……」
「あぐんッ……お、お義父さまが、ん……イ、イケと……あ、あぐあッ……!」
「ククク、気持ちエエか? “元夫”に見られながらワシのチンポでイクのは気持ちエエか?」
「──んあああッ……! す、すごっ──すごひぃっ……! き、気持ちイイれすぅ……んふ……! あ、赤ちゃん、流れたら……ん、ま、また、種付けしてくださいッ……! あ、わ、わらしはぁ……! お義父さまのぉ……! んほぉ……! じゅ、受精器れすぅ……! から──んぐ、あぐ、うぎあああああッ──!」
──。
言葉もなかった。
ただただ床を見つめてその言葉を聞いていた。
──健二と奈々子、一年前は心から愛し合っていた二人の夫婦……。
彼らの新婚一年目は、こうして幕を閉じたのだった。
[ 2011/12/05 16:51 ]
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