その後の話をすると──私たち夫婦は離婚の「り」の字も口に出さないままで、性欲にまみれた日々を送っていたのだ。
ケンジに抱かれ、ユウイチに抱かれ、クラブ通いも今まで通りに続けている。
そして夫は、そんなギャルビッチな私をそのまま家に置いておいたのだ。
夫の寝取られ属性は日に日にエスカレートしていた。
もはや自宅はラブホテルのようなことになっている。夫の知らない男たちが、夫がいるにもかかわらず泊まり込み、朝まで私を抱いていくのだ。
その中にはあの彫師のおじさんもいた。
私が不潔なセックスをしたくなったから電話したのだが──彼なんか、夫がいるのに一緒にトイレに入り、夫がいるのに一緒にお風呂に入り、そして夫が寝ているのに、その同じベッドで私のカラダを抱いたのだった。
昼、夫が仕事で留守にしている間も──私はリビングで、寝室で、多数の男とまぐわっていた。
帰宅した夫は、「今日は誰とどんなことをした」と、イチャつきながらも根掘り葉掘り聞いてくるのだ。
私は股間から汁を垂らして彼の口に吸い付きつつ、あなた以外の男のペニスはとても気持ちがよかったと告白する。
ある夏の日の話をしよう。
その日、私は夫に「海に行ってどこの馬の骨とも分からないナンパ野郎にお持ち帰りされてくれ」と頼まれていた。
夫は水着には着替えずに、海の家でソーダなんぞを飲んでいる。砂浜で一人日焼けをしている私のことを、遠くから見つめている。
焼けた砂浜にシートを敷いて座る私は、単独で日焼けをしにきた水着ギャルそのものだった。
小麦色の肌は引き締まり、パサパサの金髪にピアスにタトゥーなのだ。洋服を着ていなければ、とてもじゃないが人妻には見えないだろう。
周りにもギャルはいるが、ほとんどが男連れ。しかも彼女たちの誰にも負けないほどによく焼け、そして派手で、さらにムチムチな私は早くも注目の的だった。
一人でサンオイルを塗れと夫に命じられていた。
仕方なく私が自分の腕に匂いのキツい液体を塗り伸ばしていると、さっそく若い男に声を掛けられてしまうのだった。
「お、おねーさん一人? 背中塗れないでしょ、俺らが手伝ってあげるよ」
三人組の、どうみてもナンパ目的な男たちに声を掛けられてしまう。
全員が派手な金髪に海パン一枚で、若くたくましい肉体を見せびらかしている。大学生ぐらいだろうか、いかにも女慣れしているといった感じ。
「あ、え……どうしようかな……」
と言ってはみるものの、夫の前で断れるはずもなかったのだ。
今日はナンパをされるためにここに来ているのだから……。
この男たちなら、彼の望み通りに違いなかった。
遊び人風で、しかも三人組。
きっと遠くから私の様子を窺って、夫は早速興奮しているに違いない。心の中では、イケ、イケと念じている可能性もある。
男たちはやはり初対面の女にも慣れた様子で話し掛けてくる。
多少の会話を交わしただけで、結局あれよあれよと言う間に──オイルを奪われ、三人の手で身体中をベタベタと触られてしまっていたのだ。
一人は私の腕にオイルを塗り、もう一人は私の足を持ち上げて裸足の指先から膝にかけて丁寧に液体を塗り伸ばしてくる。そしてもう一人は私の背後に陣取って、お腹や鎖骨の辺りに直接液体を垂らしてくるのだ。
近くを通り過ぎるカップルに、ヘンな目で見られた。
まあ、当然かもしれない。今のこの状況なら、アダルトビデオのワンシーンになってもおかしくないのだから。
周囲には家族連れの姿もあるが、男たちは気にした様子もない。
手の指の間、足の指の間、わきの下にいたるまで──匂いのキツいベタベタの液体を塗り込まれていく。
最後には、水着の中にまで手を入れられて、まさに全身丸々オイルまみれにされてしまう私なのだった。
途中からは、もうあからさまな愛撫となっていた。
水着の下に、前からも後ろからもベトベトの手を差し込まれる。
アソコはもちろん、お尻の穴にまでオイルを塗りたくられる。
ヌルヌル滑る不浄の穴には、男の指が第一関節まで埋まっている。
「ああ……」
太陽もさんさんと降り注ぎ、周りからは人々の遊ぶ声が聞こえてくる。
そんな場所で、私はすでに一度指でイカされそうになっていた。
ヌメる指で前後の穴を絶妙にマッサージされ、同時に二つの乳房を生で揉みまくられているのだ。
男たちも水着一枚、その股間部分を強烈に膨らませていた。
もう彼らのペニスの形がくっきりと目にすることができて、私はさらに愛液を分泌させていく。
「おねーさん、どう? 俺らの手、気持ちいいでしょ?」
「あ……うん……すごい、エロい……」
彼らも、相手によってはいきなりこんなことしないのだろう。ただ、私があまりにもギャルギャルしく、そういうことをしても大丈夫な軽い女だと思われているからこその行為なのだ。
いわば舐められてるのだ。
この女ならエロいことをしても大丈夫だと、確実に見下されている。
まあ、実際その通りで、しかも男にそういう目で見られることに快感を感じてしまう私なのだから文句も言えないのだが……果たして夫は、どんな思いでこの光景を眺めているのだろう。
自分の妻が“男歓迎”な格好をして、一人水着でいるところをナンパされているのだ。そして今、三人がかりで身体中にオイルを塗りたくられている。
私の水着の中にまで彼らの手が入っていることや、股間の両穴に指を差し込まれてマッサージされていること、さらにはそれで私がイッちゃいそうになっていることまで──彼は分かっているのだろうか。
ちらりと視線を送ってみるが、夫は一般客を装ってどうという反応も見せてはいなかった。飲み物を片手に、サングラスを掛けた格好。その黒いレンズの向こう側で、こちらを凝視しているのだろうけれど……。
「あ……ヤバ……イク……」
「ん? イク? ふふ、可愛いねー、お姉さん。いいよイッても。おしっこ漏らしてもいいから。俺らの指でイッてごらん。ほら、俺らが身体で隠してあげるから。みんなにはバレないからね」
「あふ……んあ……あああッ……!」
気持ちのよさが溢れ、思わずお尻がシートから浮いた。
ガクガクガクと腰が上下に揺れ、水着の端から汁が滴り落ちる。
おしっこしていいと言われたから、お腹の力を緩めると──ちょろちょろと尿道口からうす黄色い液体が溢れ出した。
それは水着の端から太ももを伝って流れ、その下のシートを濡らしていった。
「あ……いく……いく……」
「ふふ、指だけでイカされちゃうんだ。いま声かけられたばっかの俺らにイカされちゃうんだ……」
男の中の一人は、ずっと私の耳元で囁いてくる。そしてもう一人は私の足を撫で回し、もう一人は両手で前後の穴を気持ちよくほぐしてくれる。
「ん……いく、いく、うん……私、イカされちゃう……あん……」
「いいよ、いっぱい気持ちよくなって……大丈夫だからね、そう、力抜いて、全部解放して……そう……」
言われるがままに力を抜くと、下半身で快楽が決壊した。
「ああああああっ……あああああっ……!」
ボタボタとシーツに汁をこぼしながらの、大きな痙攣。腰が跳ね上がり、胸までもが激しく上下する。
びくんびくんびくん……。
太ももから足の指先までが快楽にのたうち、素足はつま先までがピンと伸ばされて、甘い快感に打ち震えている。小麦色の太ももがオイルに光り、ブルブルと震えている。
「くっは、可愛いー。お姉さんヤバイねー。ほら、ヨダレ出てるヨダレ。やっぱエロイね。黒ギャルはエロイよ。これだからやめらんねー」
お姉さんとは言いつつも、彼らは私のことを自分と同じぐらいか、もしくは年下だと思っている様子だった。まるで子供に話し掛けるような優しい声色。
最低でも五つは私の方が年上だと思うのに、こんな風にイカされてしまえば……それも恥ずかしくて言えそうにない。
年齢を聞かれたら、いくつに見える? とだけ答えておこうと──私はなおも三人に身体中をヌルヌルとオイルまみれでマッサージされながら思うのだった。