「ひっ!」
誰もいないと思っていた風呂場に、マスクを被っただけの全裸の男が立っているのだ。誰だって驚く。
柏木も、ハダカのままで床から十センチほど飛び上がって小さく悲鳴を上げていた。
が、俺の指先に視線をやり、そこに書かれている文字を認識した瞬間──驚きは氷解し、信じられないといった様子で目を輝かせ始めるのだった。
「え? え? え?」
彼女は俺の目を見つめている。「本物?」という意思がその視線からは汲み取れる。
俺は、額の文字を指差したまま何度も頷いてみせた。
──そうです、私が「妖怪カラダ洗い」です。
すると彼女は一瞬迷うような素振りを見せ、次の瞬間には──喜び勇んで俺のカラダに抱きついてくるのだった。
「来てくれたんだ!」
「おふぅ……」
タオルも持たない、丸々全裸の小学五年生女子が、そのカラダをべったりと密着させてくるのだ。
両腕を腰に回して、ペニスを覆った手の甲にすべすべの下腹部を押し付けてくる。
もうそれだけでたまらない感触だった。
は、犯罪的すぎる……。おおお……。
悶絶する俺の気持ちも知らず、柏木は目を輝かせて見上げてくる。
「ホントに? 本物? 妖怪カラダ洗いさん? 信じられない! すごい! あ、お母さんにも言ってくる!」
ぺたぺたと裸足で床を飛び跳ねていたかと思うと、彼女はお母さんに知らせるべく風呂場をダッシュで出て行こうとするのだった。
──ああ、そうだ。何でも願い事を叶えてくれる妖怪カラダ洗いさんが家のお風呂にやってきたんだからな……。そりゃお母さんにだって知らせなくてはいけない……。
「ってちょっと待ったあああ……!」
必死で柏木の腕を掴む。彼女はもうドアから身体を半分ほど出して、お母さんを呼ぼうと大きく息を吸い込んでいるところだった。
「おかあ──っふぐぅ!」
もう片方の手で彼女の口を塞ぎ、取り急ぎ声を封じる。
耳元で「妖怪カラダ洗いが来たことは誰にも言っちゃダメなんだよ! 言ったら願いが叶わなくなるんだよ! 特にお母さんはダメ! 絶対ダメ!」と早口で説明する。
すると彼女は「あ、そうなんだ」と呟いては、素直に納得してくれるのだった。
どこかから「美里~! 呼んだ~?」というお母さんの声。
口から手を離して、「大丈夫だって言って」とお願いする。
「ん~ん~! 呼んでな~い!」
ありがたいことに、彼女はそう叫んでくれた。
なんていい子なんだろう……。
安心すると、どっと汗が噴き出してきた。
あ、危なすぎる……。
自分がどれほど思い切った行動に出ているのかを改めて感じた。
その後も、絶対に妖怪カラダ洗いさんが現れたことは口外しないようにと釘を刺しておいた。人に見つかったら、その時点で妖怪カラダ洗いさんは死んでしまうのだとビビらせておく。
「ふーん、いろいろ大変なんだね……」
彼女は少し哀れむような視線で俺のことを見つめてくる。その表情もまた可愛くて最高だった。
大げさでもなく、本当にバレたら死んじゃうからな……などと心の中で思いつつも、
「だから秘密にして、でも仲良くして欲しい」
と、改めてお願いする。
すると彼女は、屈託なく笑顔を浮かべ、
「うん! 分かった! 私が仲良くしてあげる!」
そう言ってくれるのだった。
ああ、本当にいい子すぎて……たまらん。
そしてそんな彼女のカラダを、ぎゅうっと片手で抱き締める俺。
普段教室で服を着ている柏木が、まったくの全裸で目の前にいる。柔らかい女子小学生の肉質が触れている部分から伝わってきて、たまらなくペニスが上を向く。匂いもすごい。甘酸っぱい小五女子の健康的な香り。
「おほう……」
いつになったら股間の左手を外せるだろうか……などと困りつつも、だらしない顔で幸せを噛みしめる俺なのだった。
[ 2011/12/31 10:04 ]
妖怪カラダ洗い |
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