私は老人に背中をごしごしとこすられていた。彼の股間や、わきの下、足の指までこすっていたであろう、そのタオルを使って。
先生は隣で、何も変わったことはない、というような態度のまま一人で身体を洗い続けている。
連れの女が、見知らぬ男性に身体をこすられているというのに……。
こんなにも異常なことはそうそうないと思うんだけど……。
「お嬢さん、あなた……肌がとてもきれいですね……」
老人は興奮した様子で、食い入るように私の肌を眺めてくる。
背中を一通りこすり終わった彼は、次に肩から腕にかけてタオルを動かしてくる。
腕の表も裏も、そして指の一本一本にいたるまで丁寧に泡をつけられる。じっくりと部分部分を見つめられながら。
身体を洗われていると言えばそれまでだが、私はそんな表現では済まないぐらい、何かものすごく変態的な行為をされてしまっている気分だった。
横目で老人の股間を見れば、彼のペニスははちきれんばかりに勃起していた。
全身の肌には深く皺が刻まれているのに、そこだけはまるで二十代の男性と変わらないハリとツヤである。特に亀頭なんてツルツルで、水に濡れて鋭く光り輝いていた。彼が下腹部に少し力を入れただけで、ペニス全体がヒクヒクと上下に動く。
こんなにも高齢の方の股間なんて見たことがなかった。勃起しているモノとなればなおさらだ。
私はなぜだか、怖いぐらいのいやらしさを感じてしまうのだった。
見なかったことにしようと思う。
唇を強く結んで、床の石模様に視線を落とした。
が、老人はそんな私の肩を掴み、すごい力で強引に上体を起こしていく。
「お嬢さん、下を向かれていては前が洗えないじゃないですか……」
困り果てて、先生の方を見る。本当に本当に、助けてもらいたかったのだ。
けれどやっぱり先生は、まったくの無関心を装っている。
「続けてもらえばいいじゃないですか」ということなのだ。
私はうまく断る言葉がないか探してみた。
が、何も思い浮かばないうちに彼にタオルをあてがわれてしまう。ちょうどアゴの下、喉仏の上辺りに。
背中を反らせてアゴを上げると、彼は私が後ろに倒れ込んでしまわないよう背後に回り込んでくれた。
背中に皮のたるんだ胸を当てて、後ろから首筋そして胸元に──泡立ったタオルを滑らせてくる。
耳の後ろの方で、彼の荒い鼻息が感じられた。スンスンと音を立てて、うなじの匂いを嗅がれてしまう。
老人はそのままタオルを大きく動かして、私の乳房、お腹、下腹部、そして股間にいたるまで──身体の前面を徹底的に撫でまわしてきた。
「んっ……ふっ……」
タオル越しにだが、胸を揉みしだかれて声を漏らしてしまう。
彼は女体を楽しむかのように、何度も何度も上下にタオルを動かしてくる。わざといやらしく撫で回し、私を興奮させようとしている。
腕を持ち上げられて、わきの下までごしごしとこすられる。
くすぐったさに身をよじるが、背後から彼にがっちりと抱かれてろくに動けなかった。
彼は私の肩越しに頭を突き出し、身を乗り出すようにして前を覗き込んでくる。
「ここは敏感ですからね。タオルじゃ痛いかもしれませんね……」
そう言うと、彼はタオルからたっぷりと泡を取り、私の身体の前にすっと手を伸ばしてきた。軽く開かれた股間に、その泡立った手のひらをべったりと押し付けてくる。
にゅる……。
「んっ……」
泡まみれの手で、アソコの入口からクリトリスまで、手のひら全体でやさしく撫で回される。
ぬるぬると滑りのよい泡の向こう側に、老人特有の骨ばった手の感触が感じられた。
彼はそのまま、股の付け根から太ももにいたるまで、泡だらけの素手で撫で回してきた。
「んふっ……」
私は太ももの肉を軽くつままれて、甘い声を漏らしてしまった。
彼はそれを聞いて調子に乗ったのか──一度洗ったはずの胸やお腹、わき腹からわきの下までを素手で撫で、揉み、そしてまた撫で回してくる。
「ふあっ……あっ……ん……」
老人にもたれかかるように、身体の前面を開けっ広げにして身悶える。閉じていたはずの両足が、だんだんと開いてきてしまう。
こんなの、まるで愛撫じゃない──。
私はそう思うが、先生が助けてくれない以上どうすることもできない。騒ぎ立てればお湯に漬かっている男性たちを刺激してしまう。
老人はもはや、やりたい放題といった感じだった。
ぬるぬるの手で、にゅるにゅると全身の肉を味わっている。背後から両手で乳房を揉みしだかれ、乳首をつままれる。
「ん……は……」
指を沿わせるようにあばらを撫でられ、柔らかいお腹と下腹部の肉をぐいぐいと押し込まれる。
耳元で「はぁはぁ」といやらしい息遣いを聞かされて、私はたまらない気持ちになってしまう。
椅子に座っているというのに、前からも後ろからも股間を責められる。お尻の割れ目に指を入れられて、ぐりぐりとアナルの皺まで洗われてしまった。
「お嬢さん、ほら、若く美しい女体ですから……キレイキレイにしましょうね……」
耳たぶを舐める勢いで彼が囁いてくる。
後ろからぐっと両手で足を開かされ、太もも、ふくらはぎ、そして片方ずつ足を掴まれて足の裏、足の指にいたるまで徹底的に手で撫でられる。
「ん……あぁ……あ……」
ぬるぬるの泡はまるでローションだった。
老人の愛撫は優しくも卑猥で、私はまぎれもなく興奮状態に追い込まれていた。
でも、私が悪いんじゃないと思う。
こんな異常な状況で、こんなにも性的な身体の洗われ方をしたら──女なら誰でもそうなってしまう。仕方のないことだと思う。
そして私は、それから十分近くも彼に全身を撫で回されてしまうのだった。
泡をたくさんつけたぬるぬるの手で、揉まれていない部分がないというぐらい、全身の肉をほぐされた。
アソコをニチャニチャとネバつかせながら、私は老人の執拗な愛撫に静かに喘ぎ続けるしかないのだった。